幸せへの扉

繰り返し目にする数字パターン。これはいったい何を意味するのだろう。それが自分を導くエンジェルナンバーの存在に気づくきっかけだった。
その数字の意味を調べはじめたら、それは全てが今の自分へのメッセージだった。天使は少し前を歩きながら、道を示す。迷いそうになったら諭し、寂しくなったら愛のこもった言葉で励ます。始めからずっとそばにいてくれたのだ。すべての人のそばに。

新しい春

世界中が得たいの知れないものの猛威を受け

じっと静まり返っているこの春


花たちはまた芽吹いて

約束を守るように

咲き始める

一年を経て巡ってきた

この同じ季節に


去年と同じように


あのときと同じように


昔と同じように


変わり果てていくものがある一方で

ずっと変わらないかたちのものもある


変わっていくもの

もうそこには存在しないもの

探しても見つからないもの

その度に

心が揺れて

それでも

時がたって、また何事もなかったように

静まるのだ


『変わらないものもあるのだよ』


そんな言葉がふと心に浮かんだとき

それはなんなのかを思ってみた


きっとそれは

愛なのだと思う


変わらず愛すること


愛していること


そして、愛をもらっていること


姿は見えなくても

たとえ気づかなくても

きっと誰かから愛をもらっているに違いない

今、会えないひと

会えなくなったひとからも

気づかないけれど

きっと

愛をもらっているのだ


そのひとは

心のなかでこの自分のことを考えてくれてるときがあるのかもしれない


離れていれば

それを知ることはできない


だから

悲しくて探し回ったりもする



この自分よりも

愛に溢れたやさしい君のことを思い出してみた


いまの自分は

あのときの君のくらい

人に優しくできているだろうか


いや、まだまだ


君のように

さりげなく誰かを気遣い

そして素直な心で

周りに優しさを振り撒くことができたら

なんの計算もなく

なんの見返りも認めず


君と同じように


誇らしくありたい


どうしているのだろうか


しずまりかえった

都会のまちで

何を思っているのだろう


久しぶりに君のことを思い出していたら

夕暮れの駅のまえで

君の面影に似た人をみかけたのだ


息をのんだけれど

たぶん君ではない


追いかけはしない


君は遠く離れた街にいて

自分はいまここにいる


好きになれなかった

自分がいるこの場所が

いとおしく思える


いま、ようやく少し君に追い付いただろうか


「ここで見たことや聞いたことは、忘れないよ」

そういってここを離れていった君


少しでも君がいとおしんでくれたこのまちを

わたしもいとおしいと思えるのだ


誰も

自分がいる場所を

嫌いになんかなりたくない


ほんとうは

愛したい


愛せるところを

見つけられなくても


ほんとうは愛したいのだ


自分にまつわるすべてを

愛していたいのだ


縁あって暮らす場所

出会う人たち

そばにいる人たちを


でも

そう思えるまで

時間がかかってしまうときもあるのだ


今だから

何もわからないけど

どこへ向かっていくのかわからないけど


生まれて

すべてを与えられて

生きてきたこの場所で


今、しっかりとこの足を

この大地につけて

私はここに立ち

まっすぐに前を見据えている


いま、ここに新しい春がやってきている


世界はいま、どう動いていくのか、わからない


でも

新しい春が変わらずに

いまここにある