幸せへの扉

繰り返し目にする数字パターン。これはいったい何を意味するのだろう。それが自分を導くエンジェルナンバーの存在に気づくきっかけだった。
その数字の意味を調べはじめたら、それは全てが今の自分へのメッセージだった。天使は少し前を歩きながら、道を示す。迷いそうになったら諭し、寂しくなったら愛のこもった言葉で励ます。始めからずっとそばにいてくれたのだ。すべての人のそばに。

流れにまかせて

寒くてきびしい冬が

いつの間にか過ぎて

ふたたび心がほぐれるような春が訪れた


春がきて

ポカポカとした陽だまりをながめたり

花が少しずつほころぶのが嬉しい


人々の心も自然に笑顔になる


ずっと春であったらいいのに


桜の花が

蕾からひとつひとつ開いていくさまに

いつ満開になるだろうと

誰もが心を踊らせる


桜はいつもあっという間に散ってしまうものだ


桜はひとときの間に

命いっぱいに花を咲かせて

そして散っていく


ずっと咲いていたらいいのに


わたしたちは

こんなふうに何かが過ぎゆくのを哀しんだりする


ずっとこのままがいいのに


ずっとこうしていたいのに


こうでなければいけない…


辺りは春爛漫で

すべてが次の季節へと動いていくなかで


ふとしたときに

心に憂いを浮かべるときもある


もし

私たちが

桜が散るのを哀しんで

その思いを受けて

桜が咲いたまま

止まってしまったら


次の季節にふたたび咲いていくことはできない


生まれ変わることはできない


止まることは

とどまることは

「次の季節」へと巡ってはいけない


もし

世界中が止まってしまったら

新しいものも何も生まれない


遠い春

何も知らない

幼くて無邪気だった子どもの自分も

いつまでも子どものままではいられない


期待と不安が入り交じった

気持ちで

新しい校舎の門をくぐったあの日や


そのときそのときの春に


震える思いを馳せていた

遠い日の自分は


今、ここに生きている自分ではない


人は

いつも同じではなく

歳を重ねていく


昔に戻りたがったり

変わることを恐れたり


なにかに

執着して

とどめようとすることは

停滞を生む


心に苦しみがうまれる


動いていくものを

止めておこうとすると

淀みが生まれる


自由な風の調べのように

流れる音楽も

もしも

ひとつひとつの音を

止めておこうとしたら

それは音楽ではなくなるように


流れをとめようとしたり

逆らおうとしたり

自分の思い通りにしようとしたり

執着することは

停滞と淀みを生むもの


しがみつかないことだ


去っていく誰かや

流れていく何かを追わないことだ


この春はいまも

一瞬一瞬が過ぎていき

とどまることがない


だからこそ

また新しい季節が

めぐってくることができる


過ぎていき

また

やってくる


流れに沿うこと


流れにのること


すべては

流れにまかせればいい


哀しむことなく


たとえ

孤独を感じても


この流れのなかで

誰ひとりとして

置き去りにされることなどない


嘆かないで


しがみつかないで


追わないで


豊かさや幸せは

形をかえて

いつも自分のもとへ

訪れるのだ


心の重荷を春風にあずけて


かろやかに


流れに沿って


流れにまかせて